■■ 第1章 予算制度のつくり方 ■■
■ 1−1 予算制度の意味
 今日のような企業をとりまく環境の激しい変化に対応していくためには、トップ・マネジメントの経営方針を実現することと利益を確保することを目的として、実現可能性のある予算決定を行うことが必要です。
 高度成長期には、ある程度の売上高が予測でき、利益もそれなりの努力さえすれば獲得することができましたが、これからは綿密な計画のもとに、時流に的確に対処していかなければ企業の存続は不可能となるからです。
 このように、先を見越した経済・社会環境から経営基本方針を立て、自社の実力を現状分析し、中・長期の目標のもとに経営計画を策定し、実行を予算で管理する制度のことを、予算制度といいます。

■ 1−2 予算の種類
 予算は利益計画の推進役であり、企業活動を予算を通じて管理することは企業経営のコントロールに役立ちます。
 企業は規模、事業内容、必要性によっていくつかの予算を組みますが、よく利用されているものと、あまり利用されていないものがあります。
 一般的な予算体系は、図1-2のようになっています。

図1-1 予算制度の流れ

経営理念

経営基本方針

中・長期目標

経営戦略

利益計画

予算編成

■ 1−3 予算担当部門
 予算は、通常、経理部(課)が担当します。予算制度は係数を中心とする管理であり、係数を一元的に取り扱う部門が中心とならざるを得ないからです。
 予算担当部門は、トップ・マネジメントに予算編成方針決定のための情報を提供し、その予算編成方針の指示に基づいて、ライン部門に予算作成を依頼し、ライン部門から集まった予算要求額の調整を行います。
 そして、予算が実施された場合には、定期的に予算と実績の差異分析をトップ・マネジメントに報告します。
 予算担当部門における予算編成の手順は、具体的には次のようになっています。
  1. 編成方針の作成・決定
  2. 予算編成方針のライン部門への伝達
  3. ライン部門予算原案の設定
  4. ライン部門予算案の調整
  5. 総合予算の編成
  6. 総合予算およびライン部門予算案のトップ・マネジメントへの提出
  7. トップ・マネジメントによる予算の承認
  8. 予算の伝達
図1-2 予算体系

図1-3 予算担当部門の具体例


■ 1−4 予算編成方法
 予算編成方式には、トップ・ダウン型とボトム・アップ型の2つがあります。トップ・ダウン型は、トップ・マネジメントの設定した利益目標に基づいて、ライン末端の具体的な達成目標まで分解するものです。トップ・ダウン型によれば、全体として有機的な目標体系がつくられますが、一般従業員の意思は反映されないことになります。
 ボトム・アップ型は予算を実行する従業員の意思を反映したものです。しかし、ボトム・アップ型は従業員の過去の経験に基づいた予算ですので、目的志向が薄く、しかも全体のバランスを欠いたものになりがちです。

■ 1−5 予算管理システム
 予算制度を有効に機能させるためには、計画に基づいた組織的な予算でなければなりません。予算制度がうまく機能しないのは、体系的、組織的でないことによります。各部の計画について、他部門との調整も行われず、そのままストレートに予算化されている場合にはなおさらです。
 また予算達成に至らなかった場合の対応が甘いことも、予算制度がうまく機能しない理由の1つです。
 予算制度を効果的にするためには、予算管理システムの確立とその運用が重要になります。
 予算管理では予算期間と予算単位を考えなければなりません。
 最近は予算制度の普及により、年度予算から半期予算、四半期予算、月次予算へと予算期間が短縮しています。また、きめ細かい管理を行うためには、どの部門レベルまでの予算を編成するかということも重要な問題です。
■ 1−6 予算と実績の差異分析
 予算制度では、経営活動に先立ち、計画にそって計数化されますが、実際の経営活動によって発生する実績とは異なってきます。時の経過により条件が変化すれば、予算を修正する必要性が生じてくることは当然のことです。
 しかし、予算と実績の差異が、内容的にも、また金額的にも重要であれば、次期以降の利益計画に大きな影響を与えることになります。
 この場合に予算と実績の差異分析報告書を備えておけば、差異原因の分析に役立ちます。予算制度は予算の編成に目的があるのではなく、実績との比較によって企業全体や各部門間の調和を図りながら、企業の業績向上に貢献することに目的があるからです。

図1-4 予算と実績の差異分析報告書

科目

予算

実績

差異分析

 

原因

対策

数量

単価

金額

数量

単価

金額

数量

単価

金額

その他

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